診療科目・予防・健康診断

予防医療

ペットの種類や生活環境に応じて 適切な予防を受けましょう

【狂犬病ワクチン】
生後90日以上の犬は、年に1回の狂犬病予防接種と、市町村への犬の登録は飼い主様の義務となっています。
毎年世界で何万人もが狂犬病により無くなっています。国交の盛んな日本においても、いつ発症例が報告されてもおかしくないと思われます。また、自然災害の多い近年では、ペットとの同行避難が注目されており、一時避難拠点への入場において、狂犬病予防接種および飼い犬登録が済んでいると安心です。

【混合ワクチン】
ウイルスは我々が生活する環境に常に存在しており、日頃のお散歩や、他の犬や猫との何気ない交流などで、感染してしまうウイルスもあります。
混合ワクチンは任意のワクチンですが、目に見えない病原体だからこそ、定期的にワクチンを接種し、常に病気を予防しておくことが重要です。

<犬>

6種混合ワクチンン…ほとんど外に出ることがない、室内にいることが多いワンちゃんに適しています。
8種混合ワクチン…毎日散歩に行き、他のワンちゃんと遊んだり、定期的にドッグランへ遊びに行くワンちゃんに適しています。


<猫>

3種混合ワクチン…完全室内飼いのネコちゃんに適しています。
5種混合ワクチン…家と外を行き来するネコちゃんに適しています。


また、当院ではワクチン抗体検査を推奨しております。
日本では「1年に1回混合ワクチンを打つ」という接種サイクルが一般ですが、科学的根拠に基づいた医療を目指すという世界的な流れから、近年日本でも混合ワクチンの接種サイクルについて見直す動きが出てきています。
ワクチンによる免疫のつき方には個体差があり、体質によりワクチン効果の持続性が1年未満の場合から、3年以上続くケースも存在します。また、ワクチンは病気から患者動物を守るために必要である一方で、アナフィラキシーショックなどの副作用を起こしてしまう場合が稀にあります。日々安全なワクチンの研究は進んでいますが、その性質上、副作用をゼロにすることは難しいのが現状です。
当院では、しっかりと予防をしながら副作用のリスクを最低限にする、その適切なワクチン接種時期を知るために、ワクチン抗体検査を行う必要があると考えています。
 ワクチン抗体検査は少量の採血(約1滴)のみで検査が可能で、料金もワクチン接種とほぼ同額となっております。また、ワクチン抗体検査の結果は証明書になっておりますので、ドッグランやトリミングサロン等の施設で使用することができます。
最小のリスクで最大の予防を行うために、ワクチン抗体検査は非常に有用な検査の1つだと考えております。


【マイクロチップ接種】
マイクロチップとは、犬猫の個体識別用のIDナンバーが登録された皮下埋め込み型の電子標識機器です。
2019年6月に犬猫のマイクロチップ装着を義務付ける改正動物愛護法が可決、成立されました。マイクロチップは登録されているIDナンバーにより、確実に個体を識別することができ、犬猫の確実な身分証となります。マイクロチップを装着していることにより、災害時や、迷子の際に飼い主様の元へ帰ってこれる確率が大きく上がります。
マイクロチップの表面は整体に適合する特殊なガラスに覆われており、副作用はありません。
当院では、大切な家族の安心・安全のために、マイクロチップの装着を推奨しております。


【フィラリア・ノミ・ダニ予防】
フィラリア感染症防について
フィラリア症(犬糸状虫症)は、蚊が媒介する寄生虫感染症です。犬や猫に感染すると、心臓病や血液循環障害などを引き起こします。急性の場合、血尿や呼吸困難といった症状や突然死などが見られ、慢性の場合では、咳や運動不耐性、体重減少といった症状が見られます。
犬では血液(抗原)検査で容易に判断できますが、猫では症状が乏しく、検査による診断が難しい上に、症状が現れた時には、すでに命が危険な状態の場合も数多くあり、健康そうに見えても突然ショック状態となり死亡してしまう場合もあります。
犬猫ともに予防期間は、蚊が活動を始めた1ヶ月後から、活動を終えた1ヶ月後までです。長野県の気候や気温を踏まえると、おおよそ5月下旬から11月下旬、12月上旬までが予防期間の目安となってきます。
フィラリア症は、現在のところ確実な治療法はなく、予防するしかありません。当院では、確実に予防ができる、フィラリアの通年予防を推奨しております。予防薬には様々なタイプがございますので、お気軽にスタッフまでご相談ください。
ノミについて
ノミは犬や猫の体に寄生し、血液を吸う寄生虫です。気温が13度以上あれば活発に活動し、寄生後24~48時間で産卵を開始、1日に最大50個もの卵を産み繁殖します。
ノミ1匹の吸血量はわずかですが、子犬や子猫に大量寄生すると、貧血の原因となる場合もあります。寄生されると強い痒みを伴い、ノミアレルギー性皮膚炎や脱毛、湿疹などの皮膚病が引き起こされます。
さらに、犬猫が痒みのために患部を舐めた際、同時にノミを食べてしまうことで、犬猫の小腸にノミの体内にいた寄生虫が寄生してしまい、下痢や嘔吐の症状が出る場合があります。
冬場でも家の中では容易に繁殖してしまうため、当院では通年予防を推奨しております。
予防薬には内服タイプとスポットタイプがございますので、ご希望のタイプをお申し付けください。

ダニについて
マダニはどのような気候にも対応できる強い生命力を持っており、その強い生命力から、日本全国に生息しています。特に山林や草むらに好んで生息しており、宿主となる動物がやってきて、寄生出来る機会をひっそりと待ち望んでいます。
 動物の被毛にくっついたマダニは、口から出ている突起を動物の皮膚に深く差し込んで食いつき、
吸血します。動物の顔や足先、背中に寄生することが多く、吸血後のマダニは、肉眼でも簡単に見つけることができるほど大きく膨らんでいます。
もし犬猫の皮膚にこのような状態のマダニを発見しても、無理に取り除こうとせず、そのまま動物病院へお連れください。無理に引っ張ると、皮膚の中にマダニの体の一部が残ってしまうため、皮膚炎の原因となってしまいます。
マダニは皮膚炎のみでなく、原虫や菌を媒介して犬猫に貧血を起こします。また、犬猫にとどまらず、ヒトの命をも脅かすSFTS(重症熱性血小板減少症候群)ウイルス感染症を媒介します。
犬猫だけではなく、ヒトの命を守るためにも、1年を通した予防が非常に重要となってきます。
予防薬には内服タイプとスポットタイプがございますので、ご希望のタイプをお申し付けください。


【避妊・去勢手術】
未避妊・未去勢の犬猫がシニア期(7歳以上)にかかることが多い病気として、メスは乳腺腫瘍や子宮蓄膿症、卵巣腫瘍など、オスは精巣腫瘍や前立腺肥大症、肛門周囲腺腫、会陰ヘルニアなどが挙げられます。
早期に避妊去勢手術を行うことにより、望まない妊娠を防げるだけではなく、性ホルモンの影響によって引き起こされる上記の病気を防ぐことができます。
さらに、避妊去勢手術を行うことは、性ホルモンの影響による問題行動を抑制することにもつながります。
当院ではこのような多くの理由から、交配の予定がない犬猫には避妊去勢手術を推奨しております。

避妊手術のメリット

- 望まれない妊娠を防ぐことができる
- 性ホルモンの影響によって引き起こされる卵巣及び子宮の病気を予防することができる
- 早期に避妊手術を行うことで乳腺腫瘍の発生率を大幅に軽減することができる
 
※犬は初回発情前に避妊手術を行うことにより、乳腺腫瘍の発生率を0.5%に抑えることができます。その後、1回目発情後は8%、2回目発情後は26%と発生率が増加していきます。
猫においても早期に避妊手術を行うことにより、乳腺癌の発症リスクを86~91%減少させることが可能であると報告されています。


去勢手術のメリット

- 望まれない妊娠を防ぐことができる
- 性ホルモンの影響によって引き起こされる病気を予防することができる
- 問題行動(マーキングやマウンティング行動、攻撃性など)を抑えることができる
- 精巣腫瘍を防ぐことができる
※通常生後1ヶ月ほどで精巣は陰嚢内に降下します。これがうまく降下してこない場合、精巣腫瘍になる確率が、降下した場合に比べて最大10倍になると報告されています。