診療科目・予防・健康診断

泌尿生殖器科

生命を維持する上で大切な腎臓。普段からのオシッコチェックを忘れずに

泌尿生殖器科では、腎臓、尿管、膀胱、尿道、卵巣、子宮、膣、精巣などに関連する泌尿生殖器疾患の検査・治療を行なっております。正確な病態把握が適切な治療に繋がるため、さまざまな検査(血液検査、尿検査、X線検査、超音波検査)を実施し、その病態の評価に努めております。

泌尿生殖器疾患の初期段階では、尿に変化が出る場合が多くあります。普段と尿の色や臭いが違う場合は、一度病院に連れてきてください。初期に治療を行うことで病気が悪化することを防ぐことができます。


主な泌尿生殖器疾患


【膀胱炎】
膀胱炎は頻尿や血尿などの症状を伴う疾患です。膀胱炎を引き起こす原因としては、細菌感染や結石、ストレスなどが考えられます。膀胱炎を引き起こしている原因を尿検査やエコーやレントゲンによる画像診断によって特定してから治療を行います。


【急性腎障害】
腎臓が損傷を受けて急激に機能が低下した状態を急性腎障害と言います。原因としては、脱水などによる腎臓血流の減少、薬剤や長期間の血流低下などによる腎臓自体の障害、腫瘍や結石などによる尿道の閉塞があります。尿の出が悪くなったり(乏尿)、全く出なくなったり(無尿)するため、死亡率の高い病気です。原因が解除されれば、数日間で腎機能は改善することもありますが、腎臓そのものに障害がある場合は、改善までに数週間から数ヶ月が必要となります。また、完全には改善せず以下に記載する慢性腎臓病に移行することもあります。

腎機能低下が重度の場合は、腎臓の機能が改善するまでの期間、腎臓の機能の代わりに腹膜透析治療が必要になる場合があります。


【慢性腎臓病】
高齢のネコちゃんに最も多い病気のひとつが慢性腎不全です。慢性腎臓病とは腎臓に障害が加わって発症する疾患で、進行すると腎機能が低下し腎不全へと陥ります。腎臓に加わる障害はさまざまで、濾過機能として働く糸球体の障害や、再吸収を行う尿細管の障害などが挙げられます。慢性腎臓病の国際的な分類によりステージ1〜4に分けられ、蛋白尿や高血圧の程度によってさらに細分類されます。

腎臓の細胞は再生機能を持たないため悪化した腎機能が回復することは困難であり、食事療法や薬物療法により現状の腎機能を維持していくことが非常に重要となります。


【膀胱結石】
膀胱結石は犬猫ともに一般的に見られ、リン酸アンモニウムマグネシウム結石(ストラバイト)よりシュウ酸カルシウム結石が増加してきています。結石の種類はさまざまであり、X線検査で判断可能な結石と判断不可能な結石があります。犬種や猫種によってできやすい結石の種類が異なっており、例えばダルメシアンは尿酸水素アンモニウム結石がブルドックはシスチン結石が、ヒマラヤンはシュウ酸カルシウム結石ができやすいなどと言われています。膀胱結石により血尿や頻尿、残尿感などの症状がみられ、時には尿道内に移動する場合もあります。

結石の種類によっては食事管理により溶解するものもありますが、近年増加しているシュウ酸カルシウムは、食事による溶解は困難であるため、外科手術で摘出する必要があります。


【尿道結石】
尿道内で結石ができることは稀であり、一般的に小さな膀胱結石が尿道に移動すると尿道結石になります。雌の尿道は比較的太く直線状であるため、尿道内に残存することは稀ですが、雄の尿道は雌と比較して細く、猫の尿道は蛇行しており、犬の尿道では陰茎部にある陰茎骨により尿道の拡張が困難であるため、尿道結石による尿道閉塞が発生しやすいとされています。

尿道閉塞を引き起こした場合、腎後性急性腎障害を引き起こすため、カテーテルを用いて膀胱に結石を戻すか、尿道を切開して結石を摘出する場合があります。


【子宮蓄膿症】
避妊手術を受けていない雌の犬に発生する生殖器疾患です。子宮内部の子宮粘膜に細菌感染(大腸菌など膣の常在菌)が起こることが原因となります。通常は子宮内へ細菌が侵入しても、正常な粘膜の免疫により感染は簡単には起こりません。しかし、発情後期などで女性ホルモンの影響を受けて子宮粘膜が増殖して厚くなると感染が起こりやすくなります。子宮蓄膿症を発症すると外陰部からの排膿や、多飲多尿、腹部膨満や嘔吐、下痢といった症状が認められる場合が多く、早急に治療を行わないと命に係わります。


【前立腺疾患】
去勢手術を受けていない雄の犬に多く発生する生殖器疾患です。持続的に男性ホルモンの刺激を前立腺が受け続けることで発症すると考えられており、前立腺肥大や前立腺嚢胞などの病気や細菌感染を伴う前立腺炎や前立腺膿瘍などがあります。排尿・排便困難や血尿、歩行困難などの症状を引き起こします。